2023.7.23【カンボジア総選挙で与党圧勝】

NEWS解説


2023年7月23日、カンボジアで5年に1度の総選挙の投開票が行われました。現首相のフン・セン首相率いるカンボジア民主党が圧勝する見通しです。今後、フン・セン首相は長男のフン・マネットへの首相交代を進めていく予定です。

ここで、カンボジアの基本情報をお話しします。
 
ユネスコの世界遺産のアンコール・ワット、フランス植民地時代に構築された建築が残りつつ近代的なビル群が立ち並ぶ首都プノンペン、大自然が魅力のカンボジア。平均年齢が20代半ばと非常に若く、経済成長していますが、貧困や飢餓の問題を抱えており課題も多い国です。

ここで、少し歴史のお話をしましょう。

1953年にフランスから独立した後にベトナム戦争の副次的な影響や内戦などがあり、1975年にポル・ポト氏が政権を握ります。このポル・ポトについて少し説明します。ポル・ポトは極端な共産主義(世の中の全ての資産を平等に共有しましょうという考え方)の思想を持っています。ポル・ポトの政治は、全ての人が共産主義者とならなければ成立しないので、反対するものは全て排除しなければならない、という過激なものでした。
ポル・ポトは、お金持ちなんてダメ!頭がいいなんてダメ!工業や商業なんてやめてみんな平等に農業しようよというもので、国から貨幣や都市を無くして、資本主義の要素を徹底的に除去しました。国民は何も所持できなくなり、情報は遮断されました。全員農村に引越して、全員同じ服を着て、毎日の作業ノルマを達成するだけの生活を強いられました。少しでも逆らう可能性があれば処刑されました。
ポル・ポトは1978年、ベトナムに攻撃をしました。攻撃されたベトナムはカンボジアに侵攻して、1979年に首都プノンペンを制圧しベトナムがカンボジアを支配し始めました。貨幣・学校・病院・銀行・放送局などを作りました。しかし、カンボジアの中でまた内戦が始まってしまします。内戦は1991年のパリ和平協定まで続きます。現首相のフン・セン氏は、ポル・ポトによる国民の虐殺に反対してベトナムに亡命します。フン・センは内戦中の1985年に首相に昇格してから現在まで長期政権が続いています

今回の選挙では、最大野党の申請書類に不備があったとして選挙参加が認められなかったこともあり、与党のカンボジア人民党の圧勝が確実な状況です。フン・セン首相がカンボジアを復興してきた功績は大きいですが、近年の強権的な姿勢が国内外から問題視されています。

まとめ