【Health】認知症

学び

認知症になると当たり前にできた日常生活の動作ができなくなっていきます。コップに飲み物をいれたり、字を書いたり、本のページをめくったりできなくなります。食事や排泄がができなくなります。できなくなっていく事を全て身近な人のせいにしてしまいます。

イライラして怒鳴ります。不安になって泣きます。家族を責める家族に縋るの繰り返しです。イライラしても泣いても頑張ろうとしても進行してしまいます。一緒に運動したり会話したり周りが色々と工夫しても無意味です。本人は常に不安でたまらない状態です。介護者は常に精神的肉体的疲労がピークの状態です。

夜中に服を脱いで裸で座り込んでいます。

夜中に突然バカヤローと叫びます。

夜中に外出しようとします。

どこにでもついてきてひっきりなしに話しかけてきます。繰り返し同じ事を訴えてきます。何度答えても同じ質問をし続けてきます。服や床、あらゆる所が大便で汚れます。空中に向かって話しかけたり何かを掴もうとする動作をしています。朝晩関係なくその繰返しです。

『介護に疲れて家族を殺してしまいました』というニュースを見る事があります。加害者の気持ちを理解できてしまいます。

介護は育児と似ている点があります。年中無休の仕事です。しかし、介護は大人が相手です。体が大きいし重いので大変です。尊厳を守る必要があります。対応の難しさは倍のレベルです。

そして、育児との決定的な違いは成果がない所です。子供は成長します。介護は、介護者が頑張り続けても、病気は悪化し続けます。ただ、毎日を怪我なく過ごす為にお世話し続けるのです。時々、笑顔を見ると一瞬元の人格に戻った様に錯覚します。報われるのは、その瞬間だけ。

読んで下さった皆様、もし周りに、大切な人が認知症になって悩んでいる人がいたら、そばにいてあげてください。

私の母は15年前に認知症を発症しました。父は昨年末から症状が出始めました。幼い頃から可愛がって下さった大事な知人も認知症です。

一番大変だった事はまず病院に連れて行き認知症の診断を貰う所です。どの相談窓口も何の手助けもしてくれません。親しい人たちも助けてくれません。なんとかしなきゃと思ったその人だけが問題を抱え込みます。病気の周知や公的な支援がもっとあればと願います。

認知症がテーマの映画と書籍を少し紹介します。

❀映画:『明日の記憶』(監督:堤幸彦、主演:渡辺健・樋口可南子)❀

❀書籍:『娘になった妻、のぶ代へ』(著者:砂川啓介)❀

映画は認知症のイメージをつかみやすいです。患者、介護者、それぞれの心情が分かりやすく表現されています。しかし、実際は遙かに壮絶です。その点、ドラエモンの声を26年間お務めになった大山のぶ代さんの御主人の砂川啓介さん(2017年に80歳で逝去)の著書『娘になった妻、のぶ代へ』は、リアルに綴られています。是非、機会があったら、お手に取ってご覧ください。