『ハウルの動く城』は、私が大学生の頃に公開されたスタジオジブリの作品。
当時、映画館に見に行きましたが、魔法ばかりで全く興味が持てませんでした。
ありえそうで現実にはない、心がワクワクする物事の中で情緒が込められている作品に今まで魅力を感じてきたので、光る人型が"かごめかごめ"みたいに囲む場面あたりで辟易してしまったのです。
私はここ数年、100㎞程離れた所に定期的に行き来しなければならない事情ができて、子供達が移動中退屈しないようにスタジオジブリの作品を見せる様になり、偶々『ハウルの動く城』を購入して見る事になりました。
『ハウルの動く城』 ≪概要≫ 監督:宮崎 駿 製作:鈴木 敏夫 音楽:久石 譲 声優:木村 拓哉 倍賞 千恵子 ≪あらすじ≫ 帽子屋の少女ソフィーは、兵隊にからまれていた所を魔法使いのハウルに助けられる。しかしハウルも、彼をつけ狙う"荒地の魔女"に追われているところだった。その後ハウルと別れたソフィーはその夜、魔女の呪いで90歳の老婆に姿を変えられてしまう。帽子屋に居られなくなり、街を出たソフィーは、荒地で不思議なカカシの"カブ"を助け、彼が連れてきたハウルの動く城に出会う。 城の暖炉には火の悪魔カルシファーがいた。彼はハウルとの契約に縛られてこき使われており、自らの魔力で城を動かしていた。彼はソフィーに、ハウルとの契約の謎を解いて、自由にしてほしいと頼んでくる。その後、ソフィーは城の掃除婦になるとハウルに言って、そのまま城に住むことになる。 隣国との戦争が始まると、王に仕える魔法使いのマダム・サリマンがハウルに国への協力を求めてくる。サリマンはハウルの昔の師匠で、悪魔と取引をしたハウルが彼女の元を去ったことを嘆いていた。彼女はハウルが協力するならば悪魔と手を切る方法を教え、協力しないならば魔力を奪うという。悪魔と取引していた荒地の魔女も、サリマンに魔力を奪われてしまう。ハウルとともにサリマンと面会したソフィーはサリマンの前でハウルを弁護したが、サリマンは国に協力しないハウルを襲い、その後も彼を狙い続ける。ハウルはサリマンから隠れるため、それまで住んでいた城からソフィーの帽子屋へ魔法で引越しをする。魔力を奪われて普通の老婆に戻ってしまった荒地の魔女も家族に加わることになる。 〔中略〕 悪魔のような姿に変わり果てたハウルが、精気を失った顔でソフィーを待っていた。ソフィーが荒地の魔女からハウルの心臓を受け取って彼の胸に戻すと、流星に戻ったカルシファーは自由になって飛び去り、ハウルも精気を取り戻す。カルシファーの魔力に支えられていた城の残骸が崩れ、乗っていたソフィー達は谷へ落ちそうになるが、カカシのカブが身を投げ出して防ぐ。ソフィーがカブに感謝のキスをすると、カブは人間の姿に変わる。彼の正体は呪いを掛けられていた隣国の王子で、国に戻って戦争を終らせるという。その様子を魔法で見ていたサリマンは、このバカげた戦争を終らせようとつぶやく。自由になったカルシファーも、みんなといたいと言って帰ってきた。 そしてハウルの動く城は、皆を乗せて青空を飛んでいくのだった。 出典:『Wikipedia』
まず、ソフィーが手掛ける美しい帽子に感動。
次に、ソフィーの自己肯定感の低さが気になりました。華やかな母と妹との対比もあり、ソフィーの発言一つ一つに分かりやすく表れていました。もしくは、作品を見ている私自身が大学生の頃にはあった冒険心や勇気や自信を失って、自己評価の低い今の自分と重なったから気付いたのかもしれません。おそらく、荒れ地の魔女がかけた呪いは割とすぐ解けています。ソフィーが自分自身に呪いをかけてしまっているのです。
ソフィーの仕事の取組み方が好きです。せっせと掃除をしている場面も好きだし、丁寧にこつこつと帽子を作る姿も好きです。一心不乱に取組む姿が見ていてとても気持ちがいいです。ソフィーは、仕事には微塵も自信のなさを見せず、堂々と徹底的に作業しているのです。カルシファーにも『掃除をするのが仕事なの』と言っていますね。
妹のレティの『自分のことは自分で決めなきゃだめよ』という伏線を見事に回収していますね。
欲望にとらわれた荒れ地の魔女にも考えさせられます。ソフィーの三つ編みを食べてパワーアップしたカルシファーを掴んで燃えている場面が印象深いです。欲望に目が眩んで炎の中でもハウルの心臓を掴んで放しません。サリマン先生に魔力を奪われてから可愛いおばあちゃんになりますが、目の前の欲望に正気を失う所もまた人間らしいですね。
私がこの作品を初めて見た時に思った"魔法で派手さを出した作品"という印象とは全く違います。一つ一つのキャラクターが非常に人間らしくて温かさに満ち溢れた作品です。素直な心に向き合いながら、最後は穏やかな気持ちになる作品です。この記事を読んで下さった皆様にも是非お勧めしたいと思います。