2023年8月17日、中国の不動産大手の恒大集団(※1)はニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法15条(※2)の申請をしました。習近平国家主席は、不動産価格が高騰すると格差が広がってしまい、国民の不満につながることを警戒して、不動産会社の資金調達制限(不動産会社への融資に上限を付けて、不動産会社ががお金を借りにくくする制限)をしました。恒大集団は資金繰りが悪化して、負債が膨らんでしまいました。マンションを契約した人々は、マンションの引渡しができるかどうか見通しがつかないので、中国政府に救済を求めています。
※1:恒大集団(EVERGRANDE GROUP)は本社が中国広東省、1996年設立、創業者:許家印(現在は会長)、マンションを中心とした不動産会社です。中国の都市部の不動産価格高騰や投機(資産の価格変動を予想して儲けることをねらう行動)ブームを背景に巨大企業に成長しました。
※2:外国企業が対象。恒大集団はアメリカ国内にある資産を保護する目的で破産申請をしました。一旦差し押さえから保護されて、債務整理をしながらに再建を目指すことができます。
恒大集団以外にも、他の不動産大手の碧桂園(Country Garden)も経営困難が続いています。中国の不動産業界では、不動産価格が高騰したことにより借金経営が当たり前になっていました。そもそも、中国では、土地は国の所有物で、国民が購入しているのは使用権だけです。政府からも『住宅は投機するものではない』という呼びかけを行っていました。
中国は、年明けまで続いたゼロコロナ政策(新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む政策)の期間に大量の失業者が出ている上、現在日本のバブル崩壊の様なことが起きています。筆者は、ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション:就職氷河期世代)の就活時期から少し回復しかかった時期に新卒の就職活動をしましたが、何十社も応募して最終面接まで到達したのが3社のみ。就職した会社も、3年で倒産を迎えました。失業や就職難の苦しみはとてもよく分かっています。自分の価値を感じられなくなってしまって、負の感情にさいなまれてしまいます。中国は、8月15日に若者(16歳~24歳)の失業率の公表を停止しました。弱者を置き去りにする社会は悲しいものですね。