給与計算を学びましょう

学び

給与計算の項目の中には、社会保険や住民税等の様に一度決定したら改定がない限り固定の項目と、毎月算出したりその月の条件で調べたりしなくてはいけない項目があります。給与計算をするにあたり、固定の項目を先に確認して、その後、変動する項目を順に出していくとやりやすいと思います。

下記の1~6をまず見てみましょう。

  1. 健康保険・厚生年金の保険料額の確認
  2. 住民税の確認
  3. 基本給・所定時間外賃金 & 交通費の計算
  4. 雇用保険の計算
  5. 所得税の確認
  6. 差引支給額の算出

次に全体のイメージをつかみましょう。

支給額 

3

控除額】

1+2+4+5

最後に支給額控除額をして差引支給額(手取り額)を算出します。

更に理解を深めていきましょう。

まず、『1. 健康保険・厚生年金の保険料額の確認』です。各都道府県の『保険料額表』を使います。社員それぞれの『標準報酬月額』の行を見て金額を確認しましょう。

  • 健康保険料・厚生年金保険料は労使折半です (会社と社員で半額ずつ負担します) ので、金額は『折半額』の列を見て下さい。
  • 40歳から64歳までの社員は『介護保険第2号被保険者に該当する場合』の金額です。健康保険料率に介護保険料率が加わります。この加算分は介護保険の財源の一部に充当されます。
  • 70歳以上の社員は厚生年金保険料は徴収しません。また、75歳に到達すると健康保険の資格も喪失し後期高齢者医療制度に移行します。手続きを忘れずに行いましょう。
  • 『標準報酬月額』は、①入社時 ②定時決定の時 ③月給が大きく変わった時、に届書を日本年金機構に提出し決定されます。

次に『2. 住民税の確認』です。住民税は、給与支払報告書 (前年中に従業員に支払った給与賞与を、1月31日迄に住民票所在地の市区町村に提出する書類) を元に計算され、6月から翌年5月迄の『特別徴収税額』の表が市区町村から会社に送られてくるので、その表を見て確認します。

『3. 基本給・所定時間外賃金 & 交通費の計算』は、『賃金規程』『労働基準法』『36協定』等に基づいて計算しましょう。

『4. 雇用保険の計算』は[総支給額]×[0.006 (※一般の事業の場合) ]で計算します。通勤手当も対象です。

『5. 所得税の確認』は『給与所得の源泉徴収税額表』を見て行います。『その月の社会保険料等控除後の給与等の金額』(給与から、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を差し引いた額) の行を見ます。雇用保険の計算の時と異なり、通勤手当は対象外 (通勤手当は業務上必要と認められ、所得税を課さない[所得税法 第9条 非課税所得 参照])。また、扶養人数によって金額が違うので、年末調整の時に社員に提出してもらった『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を確認しましょう。

最後に、[支給額 (3) ]-[控除額の計 (1+2+4+5) ]と計算します。


いかがでしたでしょうか。

〚給与計算の手順〛

1.健康保険・厚生年金の保険料額の確認
2.住民税の確認
3.基本給・所定時間外賃金 & 交通費の計算
4.雇用保険の計算
5.所得税の確認
6.差引支給額の算出

一つ一つ確認しながら進めていきましょう。